【知らないと後悔】「延命しないで」と書いても叶わない?事前指示書の落とし穴

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「延命よりも、痛みのない最期を」〜ターミナルケアと事前指示書のリアル

「父は“延命しないでほしい”と書いていたのに、
最後まで人工呼吸器が外されることはありませんでした。」

これは、実際に日本で起きた出来事です。
80代の男性が病院に運ばれ、心肺停止状態に。
医師は回復の見込みがないと判断し、家族も「延命を望まない」という本人の意思を尊重していました。

しかし、病院側が“国の指針がまだ明確ではない”と判断し、延命治療の中止は見送られました。
そのまま、人工呼吸器をつけたまま、男性は亡くなったのです。

ターミナルケア=延命しない、ではない

いま、関心が高まっている「ターミナルケア」。
それは“最期の医療”を意味する言葉ですが、
決して「もう治療をやめる」という意味ではありません。

延命よりも、痛みや苦しみを和らげることに重きを置くケア。
それが、いま注目されている“もう一つの治療”です。

ターミナルケアの中心は、次の3つ:

ケアの種類内容
身体的ケア投薬などで痛みを緩和するケア
精神的ケア不安や心残りを和らげるケア
社会的ケア孤独感や喪失感を軽くするケア

たとえ病気の治癒が見込めなくても、
「身体も心も、できるだけ穏やかに過ごす」ためのケアがあります。
その選択肢を、もっと多くの人が知っていいはずです。


事前指示書などの公的書類の存在

💬 このテーマについて書こうと思ったきっかけは、
対談を元に作った15秒のショート動画でした。


「最期をどう迎えるか、家族と話せていますか?」

🎥 そのショート動画はこちらからご覧いただけます:
👉 ショート動画を再生する

「事前指示書を書けば安心」は本当?

延命治療を望まない人の中には、
元気なうちに「事前指示書」を作る人もいます。

たとえば——
「意識がない状態で回復の見込みがなければ、延命措置を行わないでください」
「人工呼吸器や心臓マッサージなどの処置は望みません」

これらは“自分の意志”として明確に残せる手段のひとつです。
ですが……実は、日本では、事前指示書に法的拘束力がないため、
たとえ本人の意思が書かれていても、その通りに
実行されるとは限らないのです。

つまり、本人と家族が「望まない」と言っていても、
医師や病院の判断で、延命措置が継続されることがあるのです。


一方で、カナダ・BC州には「Representation Agreement(代理権契約書)」
という法的書類があり、本人が判断能力を失った場合でも、
あらかじめ任命された代理人が、医療や延命治療に関する意思決定
行える仕組みがあります。

このRA(Representation Agreement)は、
BC州の「代理権契約法(Representation Agreement Act)」
に基づく法的文書であり、一定の法的効力を持ちます。

代理人には、本人の希望や価値観を尊重し、最善の利益になるよう判断する義務が課されます。

そのため、元気なうちに意思や希望を話し合っておくことで、
「もしもの時」に代理人が適切に意思決定を行えるようになります。

🔹 ただし、RAだけですべての医療判断がカバーされるとは限りません。

特に延命措置を具体的に拒否したい場合には、
「Advance Directive(事前医療指示書)」や
「No CPR Order(DNAR)」などの書類を併用するのが、
一般的で安心とされています。


なぜ本人の意志が通らないのか?

事前指示書をめぐっては、次のような課題も指摘されています:

  • 作成した時点と、実際の状況が違う可能性
    → 想定していなかった事態に直面したとき、どう判断すべきか?
  • “本人の真意”が読み取りづらい場合
    → たとえば、「延命措置は希望しない」と書いていても、
    脱水症状で水分補給することが延命にあたるのか、解釈が分かれることも。
  • 医療現場の不安や責任感の重さ
    → 明確なガイドラインがない中、現場では「万が一のために」治療継続を選ぶことも。

最期を自分らしく生ききるために、できること

このテーマに触れると、どうしても重たくなりがちです。
でも、私たちが知っておくべき大切なことは——

「人生の最終章にも、“選ぶ自由”がある」
「そして、その意思表示には“準備”が必要」ということ。

日本ではまだ、ターミナルケアや事前指示書の扱いは「移行期」。
でも、少しずつ社会も変わってきています。

あなたは、自分の望む最期を、家族と話せていますか?

「そのとき」に迷わないように、伝えたいこと、
残しておきたいことはありますか?


まとめ:命の終わりは、ケアのはじまり

延命治療を望まない=何もしない、ではありません。

  • 苦痛を和らげる治療は、ターミナルケアとして選べます。
  • 事前指示書は「書いたら終わり」ではなく、話し合いのきっかけとしても大切。
  • そして、自分の“想い”がちゃんと伝わるかどうかは、書類だけでなく「人との対話」「コミュニケーション」が鍵を握ります。

最期まで自分らしく。

そのための準備を、少しずつ始めていきたいですね。

なお、このテーマにはさまざまな考え方があり、
死生観や価値観、そして文化的な背景によっても
受けとめ方が大きく異なる、繊細で深い内容です。

その点をご理解いただいたうえで、
この記事に関するご感想やご意見がありましたら、
どうぞ遠慮なくお寄せください。


※この記事は、人生の最終章を考えるきっかけとして書かれたものです。
内容には十分配慮しておりますが、もし不適切な表現などお気づきの点があれば、ご指摘いただけますと幸いです。
医療や法律に関する内容は、地域や状況によって異なるため、詳しくは専門家にご相談ください。

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